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インタビュー

【インタビュー】スラックキーの魅力 山口岩男

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原田真二さん、森山直太朗さん、ケツメイシさんらをはじめトップアーティストのツアーギタリストとして、また、スタジオミュージシャンとして多数のレコーディングに参加してこられた”IWAO”山口岩男さん。ウクレレプレイヤーとしてこれまでに32枚のアルバムをリリース。今年3月に発売された「Pacific Touch」はウクレレに加えてスラックキー・ギターを取り入れ、新しいサウンドを探求しています。2016年5月28日(土)アップルギターズで開催されるインストアライブ&ウクレレ・スラックキー・ギターのワークショップを前に、お話を伺いました。(聞き手:篠原真人)

 

13072170_1004594206294375_212902541_o篠原真人(以下、篠原) 昨年のアルバム「Slow Tide」に続き、3月にユニバーサル・ミュージックから「Pacific Touch」をリリースされました。いずれの作品も湘南の青い海が目に浮かぶような、ゆったりリッチなサウンドですね。5月21日には「Slow Music” Iwao’s Hawaiian Collection1」もリリースされます。

 

1 (6)山口岩男(以下、岩男) ありがとうございます。湘南に暮らしはじめて4年になります。僕は常々、波の音と日差しを感じながら音楽を創りたいと思ってました。したいことをすぐ実現できるチャンスはそうめったにありません。ここ数年、ちょうど色々と良い巡り合わせになり、よし、湘南に住もうと(笑)時間があるときはサーフィンしたり、海辺で曲を考えたりしてます。

 

篠原 本当に、アルバム全体を通して、波の音が聞こえてくるようですね。今回のアルバムにはスラックキー・ギターのサウンドが随所に取り入れられています。日本ではスラックキーを弾くアーティストさんはまだ少ないようですが、スラックキーの魅力をお話いただけますか。

 

1 (2)岩男 スラックキーの「スラック」は英語で「緩む、緩める」という意味。そのネーミングのとおり、弦を緩めたダウンチューニングで弾かれるのがスラックキーです。本場ハワイではチューニングのバリエーションが100通り以上あるといわれます。僕はスラックキーは基本チューニング「Taro Patch(Open-G)」と「C-Wahine(Open-C)」をメインに、自分でいろいろアレンジして、4~5種類のチューニングを使い分けています。
今、ハワイ現地のホテルとかレストランのBGMもウクレレの音はほとんど使われてないんですよ。むしろ、スラックキー・ギターのサウンドをよく耳にしますね。僕自身、ハワイを感じるサウンドといえばスラックキー・ギターです。ハワイの響きそのものですね。

 

篠原 ダウンチューニングはブルースやアイリッシュでも使われます。スラックキーのチューニングはまた独特で、バリエーションもたくさんありますね。よく使われるチューニングには「タロ芋」など、ユニークな名前がついています。

 

岩男 2ビートでベースラインを刻み続ける、という部分は基本的にラグタイム・ギターと同じです。スラックキーにもテクニカル系のプレイヤーはいるけど、ほとんどのプレイヤーはゆったりとしたスタイルで弾いています。フレーズをいくつかそれっぽく組み合わせれば、すぐに雰囲気が出せるのがスラックキー・ギターの魅力なんです。ソロ・ギターの基礎を学ぶには、実は最適な奏法かもしれませんね。

 

13054363_1004593899627739_2130556800_o篠原 実際に弾いてみてそう思いました。スラックキーのチューニングは開放の音を鳴らすと重厚さが気持ちいいですね。弾き始めたとたんに部屋の中がハワイアンになります(笑)

 

岩男 そうなんです。誰でもすぐに楽しく弾けるのがスラッキーの魅力です。アコースティックのソロ・ギターブームの中でも、ハワイアン・スラックキーギターはまだまだマイナーだから、ちょっと覚えて音を出すと「おお!」と新しいことを表現できる。ぜひアコギを愛する人たちにスラックキーを広めたいですね。

 

スラックキー・ギターの極意/ハワイアン・ミュージックとの出会い

 

篠原 岩男さんにとって、スラックキーの最大の魅力はどんなところですか。

 

岩男 「弾いているだけで、のんびりした気分になれるチューニング&プレイスタイル」。これに尽きますね。アコギのソロでこんなにリラックスできる奏法は珍しいんじゃないかな。ソロ・ギターのプレイはある種「自分を追い込む」世界なので。

 

篠原 確かに、アコースティック・ソロギターは技術の鍛錬と集中力を要するイメージが強いですね。ブルースやアイリッシュも、弾けるまでにある程度の弾き込みが要ります。それに比べると、スラックキーは「あれ?弾けてる」というぐらい、弾き始めからスラックキー・ギターです(笑)

 

岩男 「究極のリラクゼーション」です。ギター弾きにとって、息抜きにも良いでしょ(笑)。奏法も独特の楽しさがあるんですよ。プリングオフが、通常とは逆に(上方向に)指をはじいたり、スラックキー独自の奏法がいろいろとあります。僕はスラックキーの奏法を普通のアコギ・ソロに取り入れることも多いです。

 

篠原 それで、このアルバムも独特のニュアンスが出てきているのですね。ところで、岩男さんは、いつからハワイの音楽(ウクレレ)を始めたのですか。

 

岩男 ウクレレを知ったのは、実は「山弦」の佐橋佳幸さんからなんです。もう25年くらい前になるけど、シンガーソングライター&ギタリストだった僕が佐橋さんに4枚目のアルバムをプロデュースしてもらっていたある日、佐橋さんがスタジオにカマカのウクレレを持ってきたんです。で、触らせてもらったら、それまでウクレレっていうと玩具かハワイの土産物みたいなイメージしか知らなかったので、初めて手にしたハワイアンコアの単板を使った本格的な楽器の鳴りに感激しちゃって――。翌日、御茶ノ水の楽器店にカマカを買いに走ったんです(笑)。それからどっぷりウクレレにのめりこんじゃって、気がついたら「ウクレレの第一人者」なんて言われるようになってた(笑)。

 

篠原 偶然だったんですね。

 

1 (1)岩男 そう。ハワイのゆったりしたムードに惹き寄せられたんです。ウクレレはシンプルで奥が深い楽器です。小さい楽器なのに表現される音は艷やかで深い。素朴な楽器だから、人の心にすっと入ってくる。これまでたくさんウクレレを弾いてきて、最近メインで弾いているウクレレはGodinです。これは見た目はぜんぜんウクレレっぽくないんだけど、ラインの音が極めてナチュラルで使いやすいんです。もう1本、1930年代のMartin Style 3です(写真)。製作されてから80年経ってますから、サウンドの説得力が別格です。ブリッジをローズウッドで新しくして、指板にアールを付けて、フレット、ペグ、ナット、サドル…全部替えて、ステージ仕様の楽器になってます。3本目は Baton Rouge 。ピックアップが付いて2万円の楽器ですが、すごく良い。持ち運びしやすいのでトートバックに入れていつでも弾けるようにしてますし、ステージでもよく使ってます。
チューニングも、Low-GでもHigh-Gでも、ウクレレならどれでも弾きます。そういうプレイヤーは珍しいんじゃないかな。「これを弾いてください」と言われれば、チューニングさえしっかり合えば、どのウクレレも弾いて楽しいですね。

 

篠原 スラックキー・ギターも同じ頃からですか。

 

岩男  スラックキーはもう少し後だった。僕がハワイに行き始めたのが1990年ごろで、「ハワイ=ウクレレ」っていう割には、ハワイのホテルやレストランではウクレレよりも、ゆるい感じのアコギのインストが流れていることが多かったんです。それが「Slack Key Guitar」と呼ばれるハワイアン・チューニングの楽器だと知ったのはずいぶん経ってからです。1998年、ウクレレ・プレイヤーとしてのファ-ストアルバム「Ukulele Man」のレコーディングに、日本でのスラックキー・ギターの第一人者・山内雄喜さんに参加していただいて、初めて生のスラックキー・ギターを聴きました。その時にスラックキー・ギターの代表的なチューニングである「Taro Patch」(オープンG)―さっき篠原くんがタロ芋って言ってたやつね。それと「C-Wahine」(オープンC)を教えてもらった。数年前からウクレレのステージでもスラックキー・ギターを弾くようになって、アルバムでもスラックキー・ギターの音が増えてきたので、昨年のアルバム「Slow Tide」からは「ウクレレ・プレイヤー」の看板を外して、スラッキーギター・プレイヤーとしても活動を始めました。もちろん、ウクレレをやめたわけじゃないですよ(笑)。最近のステージはウクレレとスラックキー・ギターが半々くらいです。両方やることで、それぞれのプレイに相乗効果がある。ハワイを表現するには、ウクレレだけじゃ足りない。スラッキーを聴くとウクレレも聴きたくなる。ウクレレとスラックキー・ギターを両方やることで、作曲や表現の幅が大きく広がります。皆さんにも、ぜひ、どちらも弾いていただきたいですね。

Slow Tide 発売元:ユニバーサルミュージック合同 ¥2,700

Slow Tide
発売元:ユニバーサルミュージック合同
¥2,700

 

ウクレレとスラックキー・ギターを弾くなら―― 岩男さんおすすめの曲

 

篠原 岩男さんがいちばん好きな曲&おすすめの曲を教えてください。

 

岩男 ハワイアンの名曲はたくさんあるから、そちらは専門の方にお任せするとして、僕のおすすめは、ウクレレならチャップリンの「スマイル」とか、ジャズ・スタンダードの「スターダスト」とか、メロディがキレイでコード進行がおしゃれな曲が楽しいと思います。スラックキー・ギターは、「Dance With Me」「Isn’t She Lovely」などスタンダードポップスがいいですね。5/21発売のアルバム「Slow Music” Iwao’s Hawaiian Collection1」では松田聖子さんの「赤いスイートピー」をスラックキー・チューニングで弾いてます。

 

篠原 5月28日(土)アップルギターズのクリニックでも、参加者の皆さんと一緒に弾いていただけますか?

 

岩男 もちろんですよ。一緒に楽しみましょう!

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岩男流サウンドメイク

 

篠原 岩男さんのサウンドには、ピュアさと力強さが感じられるます。サウンドメイクの極意があれば、ぜひ教えてください。

 

岩男 僕はテクニカルなギタリストではないので、とにかく丁寧に、きれいなサウンドを出すように心がけています。30~40代はとにかく数えきれないぐらいのレコーディングに参加させてもらっていました。スタジオミュージシャンはクライアントの意向に沿った音を出さないといけませんから、その経験が生きてますね。
ボディを軽く揺らしたり、ネックベンドで音を揺らしたりして、サウンドに広がりを出しています。このあたりは僕独自の奏法です。ライブやワークショップで一緒にプレイしてみましょう。

 

篠原 機材は何を使っておられるのですか。

 

岩男 フットペダルにいろいろ凝った時期もあるし、リバーブなんかはほとんど全メーカーの全機種を試したけど、最近はマルチ・エフェクターのZOOM A3です。マルチって言っても、リバーブとEQしか使ってないんだけど、これはいいです!ZOOMは高くないし、プロで使っている人はあんまり見ないけど、A3のリバーブはとてもキレイ。チューナーもしっかり使える。「チューナーとEQとリバーブが付いたD.I」という感じで、ライブではこれをウクレレ、スティール弦、ナイロン弦それぞれに1台、計3台使ってます。あ、僕、ZOOMのモニターじゃないよ(笑)ちゃんと買ってます。あとは、弦。弦は大事です。

 

篠原 弦ですか。機材もシンプルですね。

 

岩男 うん。伝えたいことが思い通りに伝わる機材が良いです。それと弦も僕はどんな楽器にも同じ弦を張るんじゃなくて、楽器によって弦の種類も、ゲージも替えます。その時のマイ・ブームもあるし、とにかく弦はよく変えますね。「替える」んじゃなくて「変える」の。気に入ったらずっと同じ弦というわけでもなくて、いろんなブランド、種類を試します。最近の定番はエリクサーかな。やっぱりいいよね。

 

篠原 曲を作ったり、コンサートにむけて準備するときに、集中力を高める方法はどうされてますか。

 

岩男 僕は以前からあんまり緊張しないんですよ(笑)。昔、Charさんにお会いした時に同じようなことを聞いたら、すごく真剣に答えてくれてね。「ちゃんと準備ができている時は全く緊張しないけど、リハーサルが不十分だったり、思うように準備が出来ていないと緊張するよ」って。Charさんもそうなんだな、って驚いた覚えがある。そんなわけで、練習やセットリストをしっかり練るなど、可能な限りしっかり準備をするように心がけています。

 

篠原 最近はライフスタイルの講演もされていますね。ふだんの生活の健康法で気をつけておられることは、どんなことでしょう

 

岩男 40代なかばくらいに不摂生がたたって90キロ近くにまで太って、体を壊して入院してしまって―。それから体質改善して、今はほとんどベジタリアンです。ヨガや50歳過ぎて始めたサーフィンで体を鍛えています。音楽にも良い影響がありますよ。体調がいいとアレンジなんかもあまり迷わないし、アイデアも浮かぶし、指もよく動くね。

 

篠原 体の調子が良いと創作にもアイデアが湧いてきいますね。新しいCDからも伝わってきます。

 

1 (4)岩男 今年は前半に新録のアルバムを2枚も出すことができました。3月にユニバーサルミュージックジャパンからリリースした「Pacific Touch」はオリジナル中心で、ウクレレ、スラックキー・ギターはもちろん、フュージョンスタイルのエレクトリック・ギターまで、いろんなスタイルのギターを楽しんでいただけます。こちらもユニバーサルから5月発売の「“Slow Music” ~Iwao’s Hawaiian Collection 1~」は、スラックキー・ギターとウクレレとハワイの波音をミックスしたリラクゼーションアルバム。ハイレゾで録っているので、とにかく楽器の音がクリアーだと思います。どちらもハイレゾ配信をしているので、ぜひ聴いていただきたいと思います。

 

 リリース情報

発売元:ユニバーサルミュージック合同 ¥3,240

Pacific Touch
発売元:ユニバーサルミュージック合同
¥3,240 2016年3月にリリースされたニューアルバム。ウクレレとスラックキー・ギターの心地よい音色に癒されます。 

 

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Slow Music Iwao’s Hawaiian Collection 1  発売元:オーシャンビュー 発売日 2016.5.21